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デザイナーインタビュー

デザイナーインタビュー

フレシャス・スラットそのデザイン哲学とは

FRECIOUS(フレシャス)の新しいウォーターサーバー「FRECIOUS Slat(フレシャス・スラット)」が、「FRECIOUS dewo(フレシャス・デュオ)」に続きグッドデザイン賞(生活家電カテゴリー)を受賞するという栄誉を受けました。デザインを手がけられたのは、世界的なプロダクトデザイナー・安積伸さん。フレシャスと安積さんのコラボレーションは、「これなら私のキッチンに置きたい!」と私たちが思うようなシンプルで優しい佇まいと機能を兼ね備えた「デュオ」、そして今回の「スラット」によって、それまで世間一般で認識されていたウォーターサーバーの無骨なイメージを一新してきました。新機能搭載のハイクラスなウォーターサーバー「スラット」をまとめ上げた、安積さんのデザイン思想をうかがいます。

壁面に溶け込むように佇む、
シンプルで美しい板をイメージ

安積伸さん

ーー新デザインのスラットは、デュオの円柱形デザインとは表情の異なる、角ばって凛とした前面パネルが印象的ですね。

安積:おかげさまでデュオが広く受け入れられ、業界でも高い評価を受けることができ、嬉しく思っています。今回の方向性としては、デュオとは異なった個性を持ちながら、さらにコンパクトかつ機能性の高い、空間に溶け込むデザインを意識しました。
フレシャスさんとは長く開発を共にし、最終的にどういう着地をさせたいかの問題意識が共有できていますので、とても仕事しやすい状況にあります。私の「ウォーターサーバーの給水口はもっと上にあるべき」という思いを開発担当の方にも汲んでいただいて、今回は給水口をデュオよりさらに17センチ上方へと持ち上げました。また、近年のウォーターサーバーの課題でもある子ども向けの安全性に改良を加え、子どもの視線からはコントロールパネル(ボタンが並ぶ操作部)さえも見えません。ボタンが見えると注意を引き、押したいという気持ちを起こさせてしまうので、ボタンをファサード(正面デザイン)の上部に配し、小さな子どもの視界からは見えなくしています。

フレシャス・スラットイメージ

安積:このファサードが、スラット(板)というネーミングの核となります。アルミ押出成形の、長い建築資材のような、そんな綺麗な板がすっと立っている姿をイメージしました。ファサードを左右に張り出し、背部のボックスの幅を抑えることでファサードの薄さを強調し、後ろの筐体の圧迫感を軽減しています。こういったボリューム感のコントロールは、私がこれまでのデザインで培ってきた感覚の応用です。ウォーターサーバーは、例えば冷蔵庫の横に置かれたりしますので、正面をフラットにすることで周囲の環境と馴染み、気配を消す事を意識しています。
このファサードの張り出しは、扉を開く手がかりも兼ねています。指のかかり方、開け心地や閉め心地、重み、押したら少しだけ開いてリリースするといったような「気持ちよさ」も、上質な印象を生む要素として重視しました。

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安積伸(あづみしん)
国内外で数多くのデザイン賞を受賞し、世界の複数の美術館に作品が収蔵されるなど、国際的に活躍するデザイナー。京都市立芸術大学、RCA(英国王立美術大学)大学院を経て、25年間英国ロンドンを拠点に活躍。2015年、「FRECIOUS dewo(フレシャス・デュオ)」と、安積さんが2001年にデザインを手がけた名品「エッジ・クロック」がJIDAデザインミュージアムコレクションをダブル受賞したのみならず、今回「FRECIOUS Slat(フレシャス・スラット)」が2016年度グッドデザイン賞を受賞するという栄誉に輝く。2016年4月に法政大学デザイン工学部システムデザイン学科教授へ就任。

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