機能を表現するデザイン 世界的デザイナーが語るフレシャス・デュオ
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機能を表現するデザイン
世界的デザイナーが語るフレシャス・デュオ

Interview with
プロダクトデザイナー安積 伸

『フレシャス・デュオ』/デザイナー安積伸が語るウォーターサーバー(前編)

機能を表現するデザイン
世界的デザイナーが語るフレシャス・デュオ

Interview with
プロダクトデザイナー安積 伸


国内外で数多くのデザイン賞を受賞し、世界の複数の美術館に作品が収蔵されるなど、
国際的に活躍をしているデザイナーの安積伸さん。
フレシャス・デュオのデザインを担当した彼に、その想いを語っていただきました。


水の持つ清らかなイメージを
取り込みたいと思った

――色々なインテリア雑誌や各地の美術館でも作品が紹介されるなど、世界的に活躍されている安積さんですが、ウォーターサーバーのデザインのオファーを受けた時にどう思いましたか?

安積:白物家電は個人的にとても好きなエリアで、「何かもっとデザインできるものがあるのではないか」と常に思っていました。ウォーターサーバーのデザインと言われた時に「すごく面白そうだな」と思ったのを覚えています。オフィスだけでなく家庭でも使われることを前提にしたウォーターサーバーは比較的新しいプロダクトですから、デザイン的に出来ることがまだまだ残されているように感じました。そういうもののデザインの依頼がくると燃えるんですよね(笑)。

Frecious dewo(フレシャス・デュオ)

――Frecious dewo(フレシャス・デュオ)は「雫」をイメージしてデザインされたそうですね?

無機的な器械のデザインですが、やっぱり水滴、水を表現したいと思ったんです。水の「清涼感」がどこかに欲しいなと思いました。清浄な水というのはそれだけで美しいものですし、きれいなおいしい水を出す機械ですから、水の持っている清らかなイメージを、この中に取り込みたいという気持ちがあって、その中で出てきたのがああいう(表面張力の)イメージだったんです。最終的には幾何的で硬質なデザインにまとめていますが、元々のイメージはそういう物がソースになっています。

Frecious dewo(フレシャス・デュオ)

――Frecious dewo(フレシャス・デュオ)は「雫」をイメージしてデザインされたそうですね?

無機的な器械のデザインですが、やっぱり水滴、水を表現したいと思ったんです。水の「清涼感」がどこかに欲しいなと思いました。清浄な水というのはそれだけで美しいものですし、きれいなおいしい水を出す機械ですから、水の持っている清らかなイメージを、この中に取り込みたいという気持ちがあって、その中で出てきたのがああいう(表面張力の)イメージだったんです。最終的には幾何的で硬質なデザインにまとめていますが、元々のイメージはそういう物がソースになっています。

デザインラフ1 デザインラフ2

使い勝手のいいものは、
絶対的な強い力を持っている

――デュオは淡い色味が印象的ですが、それは何かをイメージされたのでしょうか?

安積:そうですね。色に関しては単純なことは言えないんですけど。日本では比較的柔らかいパステルな色が好まれます。これは好みやセンスの問題とは別に、「日本の光」の色、「太陽光」の感じが、やはりそういう柔らかい色とすごくマッチすると思うんです。例えば、ヨーロッパでフェラーリの赤を見るのと、日本でフェラーリの赤を見るのと、同じ赤でも全然見え方が違うという。そういう感じって、絶対に気候風土が関係していると思うんですね。ヨーロッパと日本では、本当に太陽光線も違いますし、影が深いですしね、ヨーロッパは。根本的に違う感じはしますね。

――実際、デザインをする際に特に意識したことや、こだわったことはありますか?

安積:日本の家庭の中に入るのであれば、小さくするというのは非常に重要です。サイズ的に1cmでも2cmでもいいからコンパクトにすることは絶対必要なので、「詰めるところは詰めたいですね」という話から始めたんです。で、あとは一つ一つ細かい機能性を改善しなければならないなと思いました。僕はデザインする時に、いつも気をつけているんですけども、やはり「使い勝手がいいもの」というのは絶対的な強い力を持っていると思うんです。使い勝手が悪いものは、見た目が良くても長く使ってはもらえないですよね。機能性を、一つ一つ改善していってそれの積み重ねによって、使った時の充足感みたいなものが得られるようにするというのは、絶対に必要だろうなとまず考えました。

デザインラフ1 デザインラフ2

機能性から考え出された
給水口やボタンの位置

――今回のデュオの機能性でいうと具体的にはどういったところを工夫されたのでしょうか?

安積:例えば給水口。ものすごく下にあったんですよ、前のタイプでは。これは普通に立ってこう(立ち上がって実演)使うと、ここまで腰をかがめなくちゃいけないっていうのは、僕にとって苦痛でした。多分他の人達にとっても同じなわけだから、「給水口を少しでも上げましょう」と。あとは料理の時にも使うので、なるだけトレイの間口や奥行を取って、鍋などがちゃんと置けるようにするとか。置けないでずっとこう鍋を持ったまま水を入れると、腕が疲れますよね?

――確かに、水を入れる間ずっと鍋を支えておくのは大変ですね(笑)。

安積:あとはボタンの位置(サーバー上部を指し示しながら)。ボタンがもし下の方にあったら押しにくいし見にくいし、子供が触ったりすると危ないですよね。ですから、ボタンはなるべく上げて。天面にあるとまたそれはそれで(ボタンが)押しにくそうなので、少し斜めにカットした面に配置して。あとは使う頻度にしたがってボタンを分け、優先順位が最も高いものを真ん中に持ってきて大きくして、あまり必要のないものは端に持っていって小さくしました。また、ボタンと給水口までの距離が長いので、ボタンと給水口との関連性がわかりやすいように、正面に縦のラインを入れました。

機能性から考え出された 給水口やボタンの位置
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安積伸(あづみしん)
1965年兵庫県生まれ。ロンドンを拠点に、国際的に活躍するプロダクト・デザイナー。NECデザインセンター勤務を経て、92年に渡英。英国王立美術大学修士課程を修了後、95年にデザインユニット「AZUMI」として活動の後、05年に「a studio」を設立。マジス社やラパルマ社など多くの国際的企業でプロダクトデザインに携わる。FX国際インテリアデザイン賞2000「プロダクトオブザイヤー」をはじめ、グッドデザイン賞、100%ブループリントデザイン賞など国内外で数多くの賞を受賞。また、審査員としてもIF賞(独)などに参加。「LEM」スツールがビクトリア&アルバート美術館(英)のパーマネントコレクションに選ばれるなど、各地の美術館に作品が収蔵されている。